今回は、古典的名著「人を動かす」をご紹介します。
もしかすると、書店で見かけたことがあるかもしれません。深いグリーンの表紙は、結構目立ちますから。
この記事では、「人を動かす」の要約とレビューを行います。
現代を生きる全ての人に読んでほしい1冊なので、よければ最後までお付き合いください。
【世界で1500万部以上売れた】「人を動かす」の要約&レビュー
まずは、基本情報から。
基本情報
- タイトル:人を動かす
- 著者:D・カーネギー
- 定価:本体650円+税
- 発行所:創元社
日本だけで500万部、世界で1500万部以上売れているモンスター級の本です。
初版が出たのは、1936年。
この記事を書いているのが2022年なので、ざっと86年が経過しています。
時間経過にも耐えて読み継がれる、まさに古典的名著。
もくじから見る、全体像
大まかな流れは、以下のとおり。
- 人を動かす三原則
- 人に好かれる六原則
- 人を説得する十二原則
- 人を変える九原則
これだけ見ると、「よくある自己啓発本なんじゃないの?」と感じるかもしれません。
特にタイトルが「人を動かす」なので、「裏で操る」みたいなイメージがありますよね。
でも、実際は違います。
英語のタイトルは「How to Win Friends and Influence People」であり、翻訳すると「仲間を得て、人々に影響を与える方法」といった意味になります。
人を操る裏ワザ的な内容ではなく、僕らはどうやって生きていくべきか、そして、人間心理とはどういったものか。
このような、王道テーマで書かれています。
最大の特徴は、偉人や有名人たちのエピソードから学べる
最大の特徴は、過去の偉人や有名人、一般人まで、数多くの人達のエピソードから教訓を学べる点です。
本当にたくさんのエピソードが紹介されます。1つのエピソードは短く読みやすい上に、学びも豊富。
著者D・カーネギーの意見や経験だけが書かれているわけではなく、多くの人達のエピソードから成り立っています。
つまり、実際のエピソードを通して、「僕たちはどのように行動すべきか?」を考えることができる。「〇〇しなさい!」って上から命令されたら、反抗したくなりますよね?
しかし、本書は違うんです。意見を押し付けてこない。
そのかわり、過去のエピソードをたくさん教えてもらえる。その中から、自分自身で学んでいくスタイルの本になっています。どのようなエピソードが書かれているか。
特に印象に残っている2つをピックアップしてご紹介します。
エピソード①:リンカーン大統領が書いた、怒りの手紙のゆくえ
僕が最も印象に残ったエピソードから。
1863年。
当時、アメリカ大統領だったリンカーンは、とある将軍に怒っていました。
怒っている理由は、将軍がリンカーンの命令を無視した結果、戦争終結のチャンスを逃したから。
リンカーンは、将軍に対して怒りのこもった手紙を書きました。結構キツい内容です。
怒りの手紙……。
あなたは、読みたいですか?
僕ならイヤです。
大統領から怒りの手紙を受け取った将軍は、どう感じたでしょうか?
少し想像してみてください。
実は、
将軍はリンカーン大統領の手紙を読むことはなかったんです。
なぜか?
リンカーンが、手紙を投函しなかったから。
怒りに任せて書いた手紙は、リンカーンの死後、書類の間から出てきたそうです。そう、つまり、リンカーンは手紙を書いたけど出さなかった。
手紙を出せば、その瞬間怒りの気持ちは収まったかもしれません。しかし、その手紙を受け取る将軍はどうだろうか? 大統領からの怒りの文章を読んで、果たして前向きになれるだろうか。これからの活躍、これからの人生に活かせるだろうか。
きっとリンカーンは、このあたりのことを考えて投函しなかったのでは? とされています。
本書では、こういったエピソードがたくさん紹介されています。僕はこの話が、印象に残っています。
エピソード②:返事をくれと書かずに、返事を出させる方法
続いては、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの話。
カーネギーの義妹は、大学に通う2人の息子に悩んでいました。
なぜなら、いくらこちらが手紙を出しても返事がこないから。
そこでカーネギーは、甥の2人に手紙を書いて、返事をくれと書かずに返事を出させることができるかどうか、百ドルの賭けをしようと言い出したのです。
その賭けに応じる者がいたので、カーネギーは甥の2人に手紙を書きました。とりとめもない内容を書いた手紙を。
その結果、甥たちからはすぐに返事がきたそうです。
なぜか、わかりますか?
僕はこの理由を知ったとき、「なるほどなぁ」と感心しました。全く思いもよらない方法でした。
詳しくは、本書を買ってお確かめください。52ページに、その答えが書かれています。
本書のデメリットとは?
立て続けに2つのエピソードを紹介したところで、あなたは興味を持ち始めたかもしれません。
ここで1つ、デメリットになり得る要素をお伝えしておきます。
特に問題ないかもしれませんが、念のため。
この本は、俗に言う「古典」です。とてつもない価値を秘めた古典。
でももし、普段から読書習慣がない場合は、読むのに苦労するかもしれません。なぜなら、結構ページに文字がぎっしり詰まっているから。
現代の余白が多い本とは違って、文字がぎっしりめ。
普段から本を読んでいるなら問題ないと思いますが、読み慣れていないと、少し大変かもしれません。これは、デメリットになり得るので、お伝えしておきます。
とはいえ、売れた部数を見れば、価値は一目瞭然。
もちろん部数の多さだけではなく、初版から80年以上もの時間経過に耐え、今なお読み継がれている事実も忘れてはいけません。半世紀以上も前から読み続けられているのは、それ相応の理由があるものです。
500万部越えなんて、普通はなかなかありません。なので、もしあなたに読書習慣がなくても、ぜひ頑張って読んでみてほしいです。
ブロガーが本書を読むべき理由
ブログを書いているなら、必ず読んでください。
なぜなら、人間心理の本質が学べるから。
普遍的な内容なので、現代でも役立ちますし、この先も古びません。
ブログを書くなら、読者の心を動かすことが求められます。あなたのブログを読んだ読者が行動を起こすことで、利益を得るわけですから。
もちろん、ブロガー向けに書かれた本ではありません。当時、ブログなんてものは存在していませんから。
しかし、人間心理に基づいた多くのエピソードは、間違いなくブログに活かせます。
例えば、先程のリンカーン大統領のエピソードはどうでしょう?
怒りの手紙を書いたものの、思い直して出さなかった。それはつまり、「目先の感情に惑わされると、誰も幸せにならない」と言えるでしょう。
ブログも同じですよね。目先に利益だけを追って、無理に商品を売っても誰も幸せになりません。こんなふうに、あなたの立場に置き換えたとき、学べることがたくさんあります。
手紙の返事をくれと書かずに、返事を出させたカーネギーの話もブログに役立ちます。実は、このエピソードが紹介される前に、こんな一文が書かれています。以下、51ページより引用します。
彼は、若い頃すでに、人を動かすには、相手の望む事柄を考えて話すより他に方法はないと悟っていた。
引用元:人を動かす
これもまさに、ブログに活かせる考え方。
ここで全てを明かすことはできませんが、こういった普遍的な人間心理が数多く書かれています。ブログと人間心理は密接に結びついているので、これからブログを頑張るなら、必ず読んでおくことをおすすめします。
まとめ
今回は、「人を動かす」を紹介しました。
いかがでしたか?
移り変わりが激しく、目先の出来事に意識が向きがちな現代だからこそ、あなたの人生に役立つ1冊になると思います。
読めば読むほど贅沢な学びが得られる、至極の1冊。
色んな本を買い漁って中途半端になるぐらいなら、まずは本書から。深みある、贅沢な読書タイムをどうぞ。
いますぐ本書を手にとってください。