英語が喋れなかった新宿の夜

昨日、友達と歌舞伎町の外れにあるバーで一杯飲んできた。待ち合わせ場所に合流すると、友達の友達と、またその友達がいて、他にも二人の女性の姿があった。訊くところによると、新宿で飲んでいる最中に意気投合したらしく、一緒に飲もう、となったそう。僕が合流したことで6人の集団になった。普段ひとりなら絶対に歩かないような路地を抜けて、所狭しと建ち並ぶバーを横目に見ながら歩いた。狭い店が多くて、すでに人が一杯で入れない店も多かった。10分程歩いて、一軒の店を見つけた。店内はカウンターだけのバーで、10人も入れば満杯になる広さ。壁には無数の海外の紙幣が貼られていて、何やら文字が書かれている。店員さんは一人だけ。注文を受けながらカウンターの中で煙草を吸っている。コアな新宿の夜がそこにあった。

本当なら雰囲気を伝えるために写真を撮って、Second Diaryに載せるべきだったのかもしれないけど、昨夜は緊張していてそれどころじゃなかった。冒頭、一発目に出てきた友達以外、他の4人は完全に初対面だったのだ。おまけに全員が外国人で日本語は通じない。会話は英語のみである。一応、合流した時になんとか簡単な自己紹介はしたものの、緊張でほとんど覚えていない。お店に入って梅酒ロックを一杯だけ頼んだのだが、なぜ梅酒だったのかすらさっぱり思い出せないほどだ。カウンターの隅に座っていた男性3人組も外国人。英語、英語、また英語である。とはいえ、ぼくも昨年の後半から英語を勉強し始めているのだ。しかも、時々このSecond Diaryでも触れているが、それなりに真剣に取り組んでいる。まぁ、勉強も始めたし、ちょっとぐらい喋れるんじゃ…という考えが甘かった。まず、ほとんど会話を聞き取れない。早い、恐ろしく早い。早すぎるのだ! おまけにわからない単語が多すぎる。たまに部分的に聞き取れることはあっても、次はぼくの言葉が出てこない。日本語だと寝ぼけていても自然と口をついて出てくるような簡単な言葉、表現すら全く出てこないのだ。時折、ラッキーパンチ的に言葉が出ることはあっても、次の相手の言葉が聞き取れなくて会話のラリーが続かない。一生懸命ぼくに伝えようと喋ってくれているのに、次第に申し訳なくなってしまって、どんどん言葉が出てこなくなってしまった。本当に楽しくて刺激的な時間だったけれど、自分の英語能力に関しては完全にヘコんだ。こんなにも喋れないのかと。ボクシング漫画を読んで気合いが入った男が、いきなり世界線のリングに上がった感覚だった。ほら、まだショックを引きずっているのがよくわかる。大して上手くもないたとえを書いてしまった。この数ヶ月続けた勉強はなんだったんだ、と思った。でも、腐っている暇はない。毎日ちょっとずつ、改良と自己反省をしながら、ちょっとずつやるぞ。

今まで何度か「英語を勉強しよう」と思って挫折してきた。当時は、英語ができれば仕事に役立つかも、とか、世界の文化をウンタラカンタラ、と思っていた。でも昨日、英語が飛び交う場所に行って心底思ったのは、シンプルに目の前の人と会話をしたいなと。目の前の相手の話を聞いて、自分の話を伝える。そんなシンプルなことが大切なんだと。仕事云々は表面的な問題で、もっとシンプルなものを求めているんだなと、そう思った。