出勤前のカフェで小説「ウォーターランド」を読む

今日から新たな職場で働くことになった。出勤前にカフェでひと息。最近あまり本を読む時間を確保出来ていなかったので、電車の中で小説を開き、続きをカフェで読んだ。やっぱり小説は良い。しばし現実(今この瞬間)を忘れる事が出来る。現実逃避をしたいとかそういったことではなく、単純に今自分が生きている日常と小説の世界が描く「今」の境界線が曖昧になり、ある種のカタルシスを感じることが出来る。この感覚は日常を生きているだけではなかなか感じることが出来ない。

なぜだか理由はわからないけど昔からヨーロッパに惹かれてきた。街並みやら醸し出す雰囲気やらに。勿論、今のヨーロッパも素敵だが、どちらかと言えば100年以上前のヨーロッパに惹かれる。当時の様子を詳しく知っているわけではないので、どちらかと言えば自分の脳内に形成された100年以上前の想像上のヨーロッパに惹かれていると言った方がより正確かもしれない。前世を信じるかどうかは非常に難しい問題ではあるがもしあるとするならば、ぼくはヨーロッパで暮らしていたに違いない。きっとそうだ。

今読んでいる小説「ウォーターランド」はイングランドが舞台の物語だ。数年前に購入して一度読み、以来ずっと本棚に眠っていた。一時期、多くの書籍を断捨離したが、この小説は残しておいた。海外の小説を読んだことがある方ならわかるかもしれないが、登場する地名に馴染みがなかったり、そもそも人の名前が覚えられなかったりと結構内容を整理して理解するのに苦しむ。少なくともぼく自身はそうで、このウォーターランドにも随分と苦戦した。正直に告白すれば読み直している今でさえ、なかなか苦戦している。おまけにページ数も多い。歴史の話が多く混ざっていたり、時系列が前後したりと、決して読みやすい小説とは言えない(ここで言う読みやすさと面白さは別である)。でも、なぜかこの物語に惹かれている自分がいる。もしかすると読みやすさではなく読みごたえを求めているのかもしれない。勿論、ベースにストーリーに対する興味があるのは言うまでもないが、とはいえ、なぜ惹かれているのかを上手く説明することは難しい。

これから年齢を重ねるごとに更に好みは変わってくるだろう。その自分自身の変化が楽しみでもあり、どこか寂しくもある。年老いた時に、ほんの数冊の本を長い時間をかけて読み込むのもいい。最高の贅沢だ。人は変わるし好みも変わるけれど、このウォーターランドに関しては、ことあるごとに読み返す一冊になる。そんな気がしている。