【RooM研究会】物理的不可能、圧倒的制約への挑戦

出口が存在しない部屋『RooM』

ワンシチュエーション作品の歴史


2015年上演の舞台「Doubt a preconceptin」(以下Dap)は、ほぼ全編ワンシチュエーションの密室劇である。

物語を書く上で、ワンシチュエーションという設定に惹かれてきた。

 

Dap以前には舞台Good Day Sundayの戯曲を書き、演出も担当。

この物語も全編ワンシチュエーションである。

 

「舞台なんだから、別にワンシチュエーションでも普通じゃね?」

 

というご意見もあるかもしれない。

ごもっとも。

 

だが舞台だけでなく映像作品においてもほぼ全編ワンシチュエーションで製作したものがある。

大阪のビジュアルアーツ専門学校の卒業制作で脚本と監督を担当した短編映画「朝がくる夜」である。

シティホテルの一室で描く初対面の男女の深夜から朝までの物語。

 

距離的冒険と深さ的冒険


ロケーションの自由度が高い映画でさえ、あえてワンシチュエーションという制約を設け、物語を展開する。

なぜか?

これに関しては、「進む方向」の問題だと思っている。

 

例えば冒険をイメージしてみてほしい。

未開の地を目指すため、森を抜けて、海を渡り、新たな大陸へ上陸する。

これはスタート地点からより遠く離れる冒険。

つまり距離的冒険といえる。

 

一方、海の中を冒険するケースを考えてみよう。

海面から海中へと潜っていく。

深くなるにつれ、増していく水圧に耐え、さらに奥へと進む。

次第に光さえ届かなくなる。

深海、海溝

これはスタート地点からより深く潜る冒険。

つまり深さ的冒険といえる。

ワンシチュエーションで展開する物語は後者の深さ的冒険に近いと思っている。

 

その冒険を体感するため今回、RooM研究会を立ち上げるに至った。

出口が存在しない部屋。

つまり究極のワンシチュエーションである。

 

遠くには行くことが出来ない。

思考の深みに潜り、あらゆる先入観を疑いながら脱出案を模索することでしか、スタート地点であるRooM内部からの距離を感じる事は出来ない。

RooMからの脱出は、物理的不可能、圧倒的制約への挑戦であり、世界からの飛躍なのである。

 

 

RooM研究会代表/ストーリーテラー

杉本 達哉(Twitter:@Sugimoto_2017)

(備考:2018年8月12日21:00の投稿記事をリライトしたものです)

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