【執筆期間約1日】短編物語『フェイク』の脚本を公開!

ブログの読者の方から「短い物語を書いてみて!」とリクエストをいただき、脚本の形式をベースにして『フェイク』という短編を書きました。

映像にすると、5分程度だと思います。

この写真から連想した物語です。

「いいね!」と思っていただけたら『シェア』していただけると嬉しいです(*^^*)

お時間ある方は読んでみてください。

では、どうぞ。。。

『フェイク』

脚本:杉本達哉

(人物一覧表)

沼田 智樹(32)…主人公

杉崎 玲子(31)…沼田の元カノ

新堂 圭介(32)…沼田と玲子の同級生

○  街・路地(早朝)
ひとけのない路地。
無造作に積まれたゴミが所々散乱し、一羽のカラスがつついている。

沼田の声「新堂! 新堂!」

突如、おぼつかない足どりで新堂圭介(32)が路地に飛び込んでくる。
両手に缶ビール。
大量の荷物が入った紙袋を手に、沼田智樹(32)と杉崎玲子(31)が後に続く。

沼田「おい、新堂!」

ニマニマと笑いながら、おどけてビールを口に含む新堂。

玲子「ねえ、良いのー? 戻んなくて!」

新堂、泥酔状態でひとりなにやら楽しそう。

沼田「なつみさんは?」
玲子「先、帰っちゃった」
沼田「ったく、大丈夫か。結婚初日に」
玲子「まあ厳密には翌日だけどね」
沼田「……」
玲子「何?」
沼田「なんでもねえよ」
玲子「何よ?」
沼田「変わんねえなって、そういうとこ」
玲子「そういうとこって?」
沼田「そいうとこだよ」

よろけながらも酒を飲み続ける新堂。

沼田「おい、新堂!」
玲子「変わったよ」
沼田「えっ?」
玲子「変わった」
沼田「変わってねえよ」
玲子「変わったよ」
沼田「……」

ニマニマと近づいてくる新堂。

新堂「なに、なに、いけない話? もしかしていけないお話ですかぁ?」
沼田「確保!」

沼田、不意をつき、新堂を羽交い締めにする。

○  道〜地下鉄出入口(早朝)
新堂を乗せたタクシーを見送る沼田と玲子。
どちからともなく歩き始める。

沼田「……泊まってく?」
玲子「……えっ?」
沼田「泊まってくかって」
玲子「何言ってんの」
沼田「近いぞ、案外。ウチ」
玲子「そういう問題じゃないでしょ」
沼田「襲ったりしねえよ」
玲子「ウソ」
沼田「まあな」

ふと微笑む玲子。

沼田「なんだよ」
玲子「てか、凄いね。それ」

紙袋にぎっしり詰まった結婚式の余興用小道具。
その中に一本のバラ。

沼田 「ったく、どいつもこいつも結婚式の余興ごときで大げさなんだよ。ほれ」

と、バラを抜き取り、玲子に手渡す。

沼田「造花じゃねえんだぞ」
玲子「……」
沼田「ほれ」

玲子、受け取る。
数メートル先、地下鉄の出入口がある。

沼田「あっち」
玲子「うん」
沼田「……」
玲子「いいよ。行って」
沼田「こう見えて案外頑固なんだっつーの。忘れてんじゃねえよ」
玲子「……忘れてないよ」
沼田「……」
玲子「じゃあ、行くね」

玲子、出入口へと歩き出す。

沼田「玲子」

玲子、振り返る。

沼田「近いなんてウソ。久々にお前とヤリたくてさ」
玲子「……ありがと」
沼田「死ぬんじゃねえぞ!」

おどけて笑う沼田、タクシーを止め、乗り込む。

玲子「……」

○  地下鉄・車輛内(早朝)
座席に座り、ぼんやり虚空を見つめる玲子。
手にはバラ。

玲子「……」

○  道・路肩(早朝)
走り去るタクシーを見送る沼田。
振り返ると、玲子を見送った地下鉄の出入口が見える。

沼田「……」

次第に白む空。

○  地下鉄・車輛内〜新宿駅ホーム(早朝)
乗客はほとんどいない。
扉に向かい、手ぐしで髪を整える玲子。
次第に減速し、新宿駅に滑り込む地下鉄。
扉が開く。
降りる玲子、周囲を見回す。
ホームの奥、新堂の姿を見つける。

玲子「……」

新堂、玲子に気付く。
酔っ払った素振りはない。
さりげなく薔薇を壁に立てかけ、玲子が微笑んだ。

END